2008年07月29日

la-condition-japonaise 次回展示ご案内

http://la-condition-japonaise.com/galerie

この度、la-condition-japonaiseでは第3回展といたしまして、Jinran Kim、福田恵展を開催する運びとなりました。ここに展覧会の案内ならびにお知らせを申し上げます。特に展覧会のタイトルを設けませんでしたが、ここでは“あるものが持つ時間や記憶、そしてその思いの形象”がテーマになっています。とりあげられたあるものとは一方は寝具であり、もう一方は古本となります。
そこには今回展示のアーティストが感銘をうけた、しみついた記憶があり、また折り込まれた記憶があります。



Jinran Kim, Megumi Fukuda
Paintings, sculptures
8.8.- 30.8.2008
Opening 8.8.08, 7 p.m
Brunnenstraße 29, 10119, Berlin


Tu-Fr 13.oo-19.oo Sa 11.oo-18.oo
Tel: 030 25581180
la-condition-japonaise.com
e@la-condition-japonaise.com
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Jinran Kimは韓国・ソウル生まれ、 1994年から1997年までベルリン芸術大学UDKにて勉強、1994以来ベルリンとソウルを行き来し活動する作家です。本来、彼女は石鹸を用いる作家として知られています。石鹸でアンティーク家具を制作し、格式あり、歴史をみてきたというような重厚な家具と軽やかで一時的、空気を伝うという香りを組み合わせる作品です。鎮座する古いものが見てきただろう記憶と新たに付け加えられた香りによる記憶の作品ということができるかと思います。今回、展覧会に出品される作品も記憶に関してであります。これは格式ある寺で生涯真摯に仏につかえ、仏教徒の最高地、解脱に到達した老僧のベットについてです。「The Last Mattress of an Old Monk.」とタイトルがつけられた作品は、彼が寝起きをして、時に安堵の心地についたり、時にその上で夢をみたマットレスであり、一日の厳しい修行を終え、彼の横たわった時の記録がしみついたマットレス、また最後の床ともなったこのマットレスでもあります。彼の動く体はもうこの世にないのですが、彼の鮮明な記憶がよみがえります。


もう一人今回の展示で紹介いたしますのは、福田恵。1976年日本・広島生まれ。現在ベルリンにて活動する作家です。人工のチューリップをベルリンの空き地に季節を問わず植え、その都市のすきまである土地を活性化するというパフォーマンスの作品にて知られている作家です。今回の展示においての作品は、「クリスタル」と名付けられた古本を使用した作品を発表いたします。何万年と時間をかけてつくられるクリスタルと同様に、後世までのこる書籍は人の知的労力を終結させ、想像をはるかにこえた時間をかけられて作られます。まさに知的結晶である本を通りでみかけた時、福田はそれをもちかえり、これ らで作品をつくることとしました。所有者がない古本は、彼女がつくった結晶の法則により様々の形に折り畳まれたものとなりました。未見の過去の所有者が抱いていた本に対する愛着もここに折り込まれています。クリスタル化したその本はその題名が今やまだわかりますが、内容は読めません。もしそのタイトルをみてその本が読んだ本であるならば、鑑賞者は自分のその本への感情も折り込めることになりかもしれません。もし読んでない本であるならば、結晶の形から内容に対する想像を膨らませることができるでしょう。

皆様のお越しをお待ちしております。

河村恵理



  

Posted by Eri Kawamura at 00:00Comments(0) ベルリンアートシーン

2008年07月20日

galerie la-condition-japonaise

galerie la-condition-japonaise ウェブサイト
のお知らせです。

なんだか、あっという間に時がすぎさっているような気がします
今日このごろ。

遠方の方もいらっしゃるかと思います。と思いまして
つくりましたウェブサイトです。
展示の作家&作品について掲載しておりますので
どうぞご覧くださいませ

http://galerie.la-condition-japonaise.com/

作品についてのお問い合わせは、どうぞこちらまでお願いいたします。
e@la-condition-japonaise.com

  

Posted by Eri Kawamura at 00:00Comments(0) ベルリンアートシーン

2008年07月08日

杉本博司展 ノイエナショナルギャラリー

ベルリン、ノイエナショナルギャラリーにて始まった
杉本博司展、オープニングにいってまいりました。



オープニングの前に
アーティストトークというか講演会がありそれも拝聴させていただきました。

作品の説明や技術的なことというよりも、
彼の作品を作り続けるモチベーションについて
どこからエネルギーをもらってくるかについて。

ニューヨークで始まったという
彼のキャリアの一端には、古美術の商いがあったと。

古美術を集めることで
その神秘に触れ、その神秘や形の美しさを自分の作品に転換していったと。

彼は作家としてではなく、
今では古美術の膨大なコレクターとしても有名で。
古美術だけではなく、化石や隕石などにいたる古代や宇宙に対する
興味も耐えない。とう講演会であった。

この杉本博司展は
日本の森美術館の元館長
デビット・エリオット氏がベルリンナショナルギャラリー
総督のペータクラウス・シュスター氏に提案したものだという。
この2人は森美術館のインターナショナル・アドバイザー・コミッティにも
なっている方達。

上の方で話が通るとはやいし、現実的にもなる。

それがまた、ベルリンの人たちにもたらす影響も。
どんな、杉本効果がでてくるか楽しみにしたいところです。

Hiroshi Sugimoto
Retrospective
7月4日から10月5日まで
Neue Nationalgalerie
www.sugimotoinberlin.de





  

Posted by Eri Kawamura at 00:00Comments(2) ベルリンアートシーン

2008年07月07日

才女 ヤン

サッカーのヨーロッパ選手権が終わって
スポーツ面でのベルリンの注目度はいよいよ中国に目を向け出した。

まだオリンピックが始まってないこのころ
まず、注目を注がれるのが中国のカルチャーについて。

なんだか、このところ中華料理の軽食店、中華インビスが
活気をましているなぁ。
とぷらぷらフリードリッヒ通りを歩き、
ドスマンという日本で言う紀伊国屋みたいな本屋の横を通り過ぎたら

おお。見たことあるパネルがぁ。

同じ事務所にいたヤンのピクトブラムである。

Ost trifft West
と題された彼女の一連の作品は
東と西の文化差を簡単画一化したピクトグラム(標識のようなもの)
明解にストレートに西と東の習慣が示され、
左右ならべておいてあるので、
それが同じ状況なのに人々の反応が違うということが
一目瞭然で、
時に正反対のことにもなっているから、笑いを誘っている。



去年の5月に
ベルリンの外務省でこの同様のタイトルで
同様の出品物によるヤンの展覧会が行われた。
その展覧会も大盛況で、オープニングも大成功の内におわった。

その後、いつものように事務所にいるわたしを
ヤンがつついて。

あの展覧会、大変なことになった。
弁護士を雇うかもしれない。

といっていた。

なにがあったかと聞くと、
担当の外務高官の下で働く、やはり役人さんが
あやまって(本人は誤ってっていうことは認めないが)
ヤンが資料用に送ったという、すべてのピクトグラムのデザインを
彼らのメーリングに一斉送信してしまった!

いやはや、どこの所轄だとおもう?
ドイツの外務省です。

もしかしたら、親切心で展覧会の案内を送ってもらったのかもしれない。
だから、どーいうメーリングだったかわからないけれども。
デザイナーにとっては、コピーライトの件もあり死活問題!

という本当に違う職業の立場をわかってない
役人さんだったのだが。。

すでに、時は遅し。
一斉送信された次の日から、ネット上でヤンの名前なしに
彼女のデザインが見れることに。

一番中国人の彼女が恐れていたのは、
なんとも皮肉なことに中国製盗難コピー。

だからこそ、外務省を訴えてやる!
なんてことにも。。

まあまあ。
ということで、まずは担当の人から理由をききたいということで
話し合いに出向いたものの。

ミス ヤン。とさとされ
すべて資料をおくったあなたが悪い。
の一点張りで通されたので
ずいぶん彼女は悩み、世界にたてつくことをやめた彼女。

しかし今となっては
その一斉送信のお陰か、時期もかさなって

まさに、時の人。
ひっぱりだこで世界の有名人となっています。


  

Posted by Eri Kawamura at 00:01Comments(2)オフィス・プログラム

2008年07月07日

西洋の契約、イスラムの半契約、日本の信用社会

さて、すみません。
ご無沙汰してしまいました。

ドトーのように過ぎ去るこのごろ。。

7月の展示はお休みさせていただいて、
同じ場所では他の団体の展示が行われています。

イスラムの人の話からずいぶん時間が経ってしまいました。
ごめんなさい。

イスラムという国境をも越えた宗教上の共同体がありながら、
ヨーロッパの方より、個人主義的ではないかということを以前書きました。

そして、なーんで口約束は守れないのだという疑問も。

個人主義的だと書きましたが、
ちょっと改め、個人的志向が強いとでも言っておきましょうか。

それはイスラムという宗教観はありますが、
キリスト教のように偶像は禁止されており、
視覚化されておず、他のモスリムと共通のビジョンが共有されてない中で、
唯一神であるアラーと自分が直接
対峙するという宗教上の性格からきているかもしれません。

神の前ではみな個だというもの。からきているのかもしれません。

ただただ、彼らはとても神の前以外の現実の世界でも
個人的志向を高めているかと。

たとえば、輪廻転生の概念などないし、
それを脱したところの涅槃の境地へ到達へのあこがれもない。

生まれ変わるという概念がないので、来世というビジョンがない。
ということは個人として生きることをこの現実の世界で全うしようとするのです。

結構現実主義。

だから、ものすごくこれがやりた〜い。
みたいな意志が強く、それがすぐ行動にでる。

もちろんそれがすべてではなく、
いろいろなモスリムもいらっしゃると思います。。

今現在、なにをしたいかが重要なので、一瞬一瞬の気分により
また一瞬、一瞬の好き嫌いにより決定を変えることがある。

だから、約束をしたのに、すっぽかされたりすることも。

その時の自分の気分を大事にする。
それは、ずいぶんおっしゃることはよーくわかります。
気分は大事ですよね。
あのぉ。やはり来ると思って、準備しているわたしとしては困るんですけれど。。
それはこちらから申し上げると“身勝手”face04ということです。

ということにもなってくる。

それでも、社会的にも経済的にもある程度社会が成り立つためには
気分だけで行動しては成り立たないと思っていたところに
面白い記事を発見。

本のタイトルは忘れましたが。

それは西洋とイスラム、そして日本の社会構造について
述べている図解。

とにかく、西洋は契約社会、
契約とおりに動くことで人との関係が保たれている。
その契約も人間の態度に関わることも多く、割と気分で動くというような
その人が決められるような範囲は少ない。
四角のなかに、もう一つ一回り小さい四角が。
その四角と四角の間はあまりあいていない。四角、角張っている。

イスラム社会も実はああみえても契約社会。
ただ、契約が行われた場合は、厳しく敢行されなければならない。
特に経済に関わる契約は大事。それと結婚に関わる契約。
ただ、契約されていないところは
余裕があり、自分の意志や気分で決められることも。
なにか別に理由があれば守らなくてもよい。という契約外はゆるい社会
四角のなかに、もう一つ小さい四角が。
その四角と四角の間はちょっと間があいている。

日本は信用社会。
契約ではなく、信頼関係で成り立つ。
だからわざわざ契約をするのは、信頼されてない証拠だとして
感情的にはいやがる傾向に。
四角のみの図解。
(働く時は契約とかあると思いますが、ベーシックはかなり納得)

一つその本のなかに
逸話が。一つ歴史をむしかえすようだけれども。

1991年1月15日、ニューヨーク時間の夜中12時。
バクダッドでは朝8時にあたる時間。
アメリカ側が提示した、締め切り時間。

朝には攻撃をしかけないだろうという
大方の予想を裏切らないで、16日の夜半にバクダッドが
アメリカ軍によるイラク攻撃がはじまった。

ただし、イラク側からすれば、
あれは言っているだけ。攻撃はないだろう。
という見方が大方だったとも。

そうそうあれはお互いに調印した契約じゃなかったし。。
なんともいろんな考え方があるものです。


















  

Posted by Eri Kawamura at 00:00Comments(0)人間について。