今年最大の恵みは、何と言っても人との出会いだった。
世界陸上しかり、モスクワしかり。
モスクワで出会った通訳のKちゃんは
私と同じ年ぐらいで、私よりもべらべらに日本語をしゃべっていた。
大学時代日本にいたという。
Kちゃんはものすごく出来た人で、
頭もいいが、努力のたまものでここまで
やってきた感じだ。
それにしても私たちが基本的なロシアのことについて
あるいは何回も念をおすように言われた待ち合わせ時間や
その日のスケジュールについても
忘れるごとに質問をするのにぜんぜん嫌な顔をせず、話をしてくれる。
彼女は敬虔なロシア正教の信者で
特に美術館の中にあったイコンを前にしたときや
教会の中に入って図像を説明する時には特に熱がこもっていた。
イコンのキリスト像の首がいつもまっすぐでなくて
右か左に曲がっているのは、周りにつねにつく天使たちと
和を結ぶためだそうである。天使たちの首も同じ方向に
曲がっており、皆が輪をつくって和となすよう。
とか、結構くだらない質問にもまじめに答えてくれた。
ある時レストランでKちゃんがなんでそんなに敬虔な信者なのか分かった。
私と同じぐらいなのに8年間も不二の病と戦っていたというのだ。
彼女は治らないと思っていても神さまにお願いつづけたという。
それに本格的に修道院に通い、心身共に浄めたということである。
ロシアの北の方に修道院だけがある島があるといっていて、
そこにガイドをしながら長期滞在したといっていた。
それでその病が治った!
というのだから神さまに感謝の意を表しても足りないぐらいだという。
そんなKちゃんが、美術館でイコンを目の前にして教会の話をしていた時、
なんかの拍子で、
他人を批判してはいけません。といったの。
なんかその人には訳があるのだから、私たちには見えない訳があるのだから。
他人を批判することなどできないと。
たぶん彼女の私たちに対する謙虚な態度は
こんな信念から来ていたのではないかと
思ったのです。
おそらくKちゃんが訪れただろう
ソロヴェツキイ諸島 の画像をみつけました。
http://ruvr.ru/files/Flash/multi09/september/Solovki_dlya_vseh1.swf