きゃぁー。前から約束をしてもらった“ブツ”をぉ。
手に入れてもらったぁ。
行った所は、2箇所。
おフランス系のデパートと
近所の飾り気のないお店だ。
飾り気のないお店の方には、
あやしげな褐色肌のおやじが。
ブツはみなよさそうだ。
おやじは女性もののショール(インド柄)を首に2枚ほど、
掛けている。
まるで、仕立て屋のおやじだ。
オヤジもインド系な感じなんだけど、なんかねぇ。
どーもイスラムの商売人くさい。
ただ、そこらへんのケバブ屋のおやじじゃなくて、
もっと身なりもよく(失礼)高貴な感じだ。
聞けば、おやじ、カシミールから来たという。
カシミアの語源のカシミールかぁ。
それで、産地直送のよいブツがとどくのね。
なるほど。
その時はカシミールの位置さえもわかんなく、
それが国を指しているのかと思ったけど、
あとで調べてみると、大変なことが分かってきた。
インドと聞けば、ヒンデゥー教をイメージするから、
ヒンデゥーにも、イスラム的やり手商売人がいるのだろうかと
思ったけど、やっぱり、彼は、正真正銘のイスラム!であった。
カシミールはインドとパキスタンの間。
インドがイギリスの植民地だったころには、
カシミール地方は、間接的にインドを通してイギリスの管轄下にあった。
1947年にインドとパキスタンがイギリスから独立する時、
このカシミール地方は独立するか、あるいは、インドにつくか、
あるいはパキスタンにつくか選択を迫られたのだ。
なんといってもこの地方の王族はヒンデゥー教、
しかし住民の80%はイスラム教を信仰している。すでにバラバラ。
実は、ここのイスラム教もおもしろくて、
この世のすべてのものが神の化身であり、神があふれていると。
だから、予言者を通じなくても神と交信できるとのこと。
へー。イスラムの一神教とヒンデゥーの多神教との折り合いだぁ。
っていうことは、八百万の神とも繋がってくるかな。それは、おいておいてぇ。
それにしても、イスラムはイスラム、
ヒンデゥーはヒンデゥーだから結局別のもの。
内部でどうにか昔は折衷できてたんだから、カシミールは、
一つの独立国家国として独立すればよかったのだ。
でも、ヒンデゥーの王族はしなかった、住民の多くがイスラムなのに!
ヒンデゥーのインドに帰属したのだ!
全体を考えればわかるじゃー。どうなるかが。
しかし、もうちょっと歴史をみてみると、
独立を考えていたところに、パキスタンが入って来たから、
王族はインドに属し派兵を願ったようだ。
まあ、本当のところはわかんない。
それからカシミール地方を舞台にしてはじまったのが、
インド・パキスタン戦争。
いまじゃぁ。両国2つとも核を持っているというから、
最悪の場合、ここの地方が常に起爆剤になり得るのだ。
カシミール地方はさらに宗教的にも国的にも分断されている。
さらにバラバラ。危険因子をはらむ。まだ現在でもこの問題は解決されていない。
あのおやじの顔からこんな歴史的なことは汲取れなかった。
ブツを買ってもらってから、お茶でも飲んでいかんかねぇ。
と誘われた。そんなこと寝耳に水状態で、なんだか、ぶっきらぼうに断ってしまったけぇ。
彼とお茶をすることまで作法として考えなければいけなかっただろうか。
店をあとにしてから、あ、と思ったけど
また、今度と言われたから、また今度とも思う。
しかし、また今度の時には、やはりなにか買ってから、
という第一の儀式を踏まなければならないだろう。
結構高いのよ。ここのオヤジの商品。お茶代としてはチョー高いの。
インド系のショールが気に入っています。
ありがとうございます!
この記事へのコメント
世界を席巻する品質をつくるその土地、ってすごいな。
そしてそのセンスを血にもち、上品に活躍する親父もすごい!
まいりました。