”川 KAWA=flow”
10/3 - 11/2 2008
Opening 3rd of October, 7.oo p.m

日本の現代美術を紹介するというコンセプトの元にベルリンで活動しております "la-condition-japonaise"では、2008年10月に国際的に活躍されている写真家、山本昌男氏の展示会を準備しております。山本昌男氏はすでにアメリカで評価が定まっており、近年ではヨーロッパにおいて知名度があがっている作家です。作家は1957年の生まれの写真家でありまして、その作品は今現在1500種類にものぼります。これらすべてのプリントは丁寧に一つ一つ手仕上げされています。
今まで東京、サンフランシスコ、ニューヨーク、サンタモニカ、ポートランドにて90年代は「空の箱(Box of Ku)」、また2000年からは「中空 (Nakazora)」そして「ゑ (e)」という展覧会タイトルにて、写真によるインスタレーションを展開していきました。写真は大判ではなく、手に取れるようなサイズとなっています。それは実際に手に取って見てほしいという作家の思いからでもあり、また事実観客が写真を手に取って選ぶこともできる作品もあります。写真画面には何気ない自然の風景、例えば山、川、花、滝、湖畔、海面、樹木、霧、丘、岩石、人影、あるいは野生の動物が写っているものです。
芸術家として山本昌男氏の力量が認められるのは、これらの一つ一つの写真を眺める時、観客は作家の風景とはとらずに、観客側の心象風景と重なり合うというところにあります。また、それぞれの写真を設置した位置により、その間に存在する架空の物語を観客が創作することができるのです。この空想力を自由に喚起させるというのが、山本作品の醍醐味となっています。こういった現象は、作家の言説をかりれば、「俳句ができるときのように、突然訪れ気持ちを揺さぶる瞬間」が意識されているからであり、また「インスタレーションを理解するのではなく、例えば、風景として観る、もしくは眺めて欲しい」といった作家の無我の境地、あるいは執着にこだわらない態度によるかと思われます。山本は多くを言葉によって示唆しませんが、展覧会のタイトルに仏教用語がよく使われるように、彼の根底にある創作意欲はその仏教観念からきていると思われます。
今回の展示では、今、私が居る世界、そして将来行くであろう世界を表現する、”川 KAWA=flow”とするタイトルが銘打たれています。
皆様のお越しをお待ちしております。
資料請求はこちらベルリンぼのぼのまで。
この記事へのコメント