2007年08月04日

ネロのカテキョー

最近、実は、展覧会のオーガナイズの話があるのです。
おそらく小さな展示になると思うのですが、折角のお話
いろいろと考えてみたいと思います。

テーマを考えるにあたって
この話をもってきた、シンタロー君と話す事も多し。

最近、私が絵画的に興味を持つのは、
ルネッサンスの巨匠達の作品です。
残念ながら私は西洋美術を勉強してきたとはいえ、
古典ではなく、現代美術傾倒でしたので、古いものに
興味がなかったといえるかもしれません。

でも、最近は、古いものにも恥ずかしながら興味がでてきました。
というのは、古いものでも、今目の前に出来るものというものは、
時代の荒波を越えても生き残っているということです。

生き残っているもののすごさを古いものに感じます。

美術史であれば、それはルネッサンス絵画に感じるのです。

ルネッサンス絵画の思想はやはり、かつてのローマやギリシャの思想を根源と
するところがあり、ローマ・ギリシャの思想は、端的に言ってしまえば
やはりヨーロッパ文化の根底にあるものだと、

その証拠に、ラテン語は文系の学問では必ず取り入れられています。

シンタロー君は、ラテン語の教育も受けた方。

ラテン語は重要だと。
私は、ラテン語を勉強したことはないし、ドイツ語、英語、その次に
死語といわれてもいるラテン語を勉強する気はそうそうありませんが、
重要だという言葉に重みを感じます。

おそらく、ラテン語を勉強した人の世界観はちょっと違うのだろうと。

私は、世界観とか思想とかは、
物事の解釈の仕方だと思っているところがあります。

でも、その人を形成する考え方の基本となっているものだから
これらの物事の解釈の仕方が、その人を揺り動かし
行動にも影響をしているのだろうと。行為というのはやはり他の人も
巻き込んでいくもの。

だからこそ物事の解釈は、
瀬戸内海の大渦のようにあるいは、台風のように
自分を含めて、人を渦中に引き込む。

否応無しに人と関わりをもつものだからこそ、
もし、周りの人、その人は特に大事な人々である場合が多いと思いますが
彼らに迷惑になるのを避けようとすればするだけ、物事の解釈は健全さを持つべきであろうと
思います。

ルネッサンスについて書かれた代表的な著書
高階 秀爾さんの「ルネッサンスの光と闇の中」で
気になる個所があり、ここはローマ時代の政治家、弁論家、劇作家である
セネカの一節の引用より考察されている個所があります。

以前、友達が帰国とのことで
本を何冊かいただきましたが、その中にセネカの「人生の短さについて」
という本がありました。物々しいタイトルのため、本日の訓戒のように
背表紙を眺めるだけになっていましたが、このタイトルとなっている
小論は、人生短いけれども、よく使えば長い、ではどのように使うか
というのが載っているものです。ですので、タイトルからみられる
短命を宣言されるような恐怖の内容ではなく、
限られた時間を把握しているからこそどーすればいいかという
実例をあげた解説をする実用書なのです。

残念ながら、ここまで説明しておいてなんなのですが、
実は、私の心をとらえたのは、「人生の短さについて」ではなく、
同時に収録されている次の小論でした。

「心の平静について」と「幸福な人生について」
これもタイトルからイメージする内容とは
ほど遠い内容になっています。

2000年前にすでに言い放たれ、言い尽くされている感がします。

ネロ皇帝のカテキョーだった彼。
激動の時代に、そこまで考え抜かれ、実行に移されたから
言い切れることもあるのでしょう。ただ、セネカは謀反の罪をきせられ
ネロ帝から自殺を命じられました。
その死に方があまりにも立派だったので、
後世においては彼の思想により信頼が集ったともいいます。

この2000年を越えて迫ってくるものはなんでしょうねぇ。

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この記事へのコメント

昨日はオツカレー。そういえば、ギリシア、ローマ関係なら、フランクに聞くと、色々楽しそうにお話してくれるよー。彼は古代ギリシア語&ラテン語の知識者。そういえば、ちょっとちがう世界観を持っているっての、私も思ったことがあるなあ。
Posted by misa at 2007年08月07日 16:09
フランク?だれやったかなー。
あー。あのー。ふーん。
また聞いてみるよー。今度の宴会にくるらー?。
Posted by bonobono at 2007年08月07日 18:35
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