2010年08月08日

カザーネへの道

今は週末の最後の日の夕方。
つまり日曜日の午後6時頃。

地下鉄6番をつかう私も家に帰ろうとしていたけれども、
ぞろぞろと大きなリュックや布バックをもった
ガタイのよい青年が電車にのってくる。

ジーパンにTシャツなどの普通の格好の
10代なのだけれど、バックをみるとそれが
アーミー柄で、彼らが
週末の休暇を終えて兵舎(カザーネ)へ帰る所だというのがわかる。

私の家の先、いくつかの駅をいったところに
兵舎があり、地下鉄6番のこのころの電車は
こんな光景がいつもひろがっている。

ドイツには18歳の男性に兵役の義務が課されていて
2010年7月までは9ヶ月の兵役義務、
この7月からは6ヶ月の兵役義務となっている。
60年、70年代の冷戦時には12ヶ月から18ヶ月の兵役義務が課されていたようだ。

もちろん兵役の代わりに社会福祉施設などでボランティアをすることが
今では許されているという。

この日曜日の夕方に地下鉄6番線にのってくる
兵隊さんたちは兵役義務の人なのだろうか?
その年頃の年齢だ。

彼らは実にリラックスした平服なのだけれども
立ち方や目の配り方に一般の人ではない何かを感じる。

アーミーバックをみてしまうと、ああ、兵隊さんなんだと
確かめる事ができるのだけれど、
それ以前に出で立ちになにか鋭いものがあって、
車内にあった日常感が一気にもちさらわれる。

明日から彼らは訓練か。

現在ドイツ連邦軍は25万人をかかえている。

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Posted by Eri Kawamura at 00:00 │Comments(4)人間について。

この記事へのコメント

こんばんは。
今回はアートの話題ではありませんが、ドイツの兵役から、ベルリンのリアルライフが垣間見え、大変興味深く思いました。

ドイツと日本は、「敗戦」という同じトラウマを抱える国として、親近感を感じます。

今年も8月が来て、日本は今、原爆投下、終戦記念、ムード一色。
TVや映画など、いっせいに戦争特集をやっています。

今年がいつもと違うのは、広島原爆慰霊記念式典で、イギリス、フランス。そして、アメリカの大使がはじめて参加したことだと思いました。
オバマ政権になって、世界が核兵器縮小の方向を向いているからでしょう。

TVで慰霊式典を見ていると、被爆犠牲者の遺族に囲まれたアメリカ大使の重たい表情は、「原爆を投下した国」という目で見られていることに、じっと耐えているかのようみ見えました。
実はアメリカも「原爆」というトラウマを抱えている国なんだなということを感じました。
このことを自覚しているアメリカ人はどのくらいいるのか考えたりしてしまいます。

日本の深夜のドキュメンタリーでは、アメリカ兵が行った中東兵士への虐待裁判が流れていたりします。
アメリカ人はこのことをどれくらい知っているんだろう?と思ったりしながら見ていました。
一刻も早く、中東での戦争が終わることを祈るばかりです。

ベルリンは国際都市ですが、日本ではあんまり情報がないです。
ぼのぼのさんのブログは、ベルリンリアルを感じる貴重な場だなぁ、と思いつつ拝見しています。
Posted by TAW Tokyo Art Watcher at 2010年08月12日 23:47
TAW さんへ
コメントをありがとうございます!
TAW さんのコメント、大変貴重なものと思いますよ。
こちらにとっては日本に起こる事を伝えていただいて
とても刺激になってます。

最近のドイツの新聞ではアフガニスタンのことが
紙面をにぎわせています。ドイツ兵の派遣があるためで
大きな大戦、冷戦がおわっても、そして広島があっても、
戦争はまだまだどこかで続いているのだと実感いたします。

ここでは報道に関してはわりと地方のニュースと
国際的なものが同じ割合で耳や目に入ってくるといった方が
いいでしょうか。おかしい話ですが、こちらにいると
アジアの情勢が日本にいるときよりも分かります。

気づくのは報道というのは
あまり感想をつけず、どこでなにが起こっているという
事実だけを述べるものが多いようです。
まあ、これが通常の報道の姿なのでしょうけれど。。

世界にアンテナをはっているという感じでしょうか。

あと面白いのは、テレビをたまにつけると、
ものすごく時代遅れの衣装をきたアナウンサーがなにか
しゃべっているときがあるのですが、これは
20年前のその日の報道の再放送だったりします。

過去のニュースを聞きつつずいぶん時代がかわったなと、
比較したり、日常で過去に突然もどされたりするのも
あまり日本ではチャンスが少ないかなと思います。

そうなんです。特にベルリンというのは
日常で兵隊さんをみたり、壁があったり、
まだ銃の跡がある街なので、
冷戦後という歴史上に私たちがいる
ということを実感できる街でもあるかなと思います。
Posted by bono at 2010年08月13日 11:05
こんばんは。
丁寧な返答ありがとうございます。


ベルリンでは残された建物やなんかかから戦争を感じるんですねぇ。
日本では、在日とか、靖国とか、国際問題があると必ずそういうのが出てきます。
目には見えないけど、そういう言葉とか、国際的な批判から、戦争を感じたりします。

そんなとき、こころが「ぐにゃり」と曲がったような、不快感というか罪悪感を感じます。
日本人のアイデンティティに刻み込まれた消えない痕跡ですね。


しかし不思議なもので、戦後65年も経ち、世代が変わり世論が変わると、中国との経済的関係とか、韓流(ハンリュウ)ブームにおいて、戦争責任うんぬんということは、とりあえずスルーされ、どんどん交流が進んでいます。

こうした文化経済の友好的関係が、政治や戦争責任問題にも少なからず良い影響をもたらしていると思います。
天皇や政府は韓国への謝罪を表明していますし、今やそれが世論の大半を占めています。
ちょっとホッとした気分です。


いま日本では、中国の経済発展は多大な影響を与えていますし、これからもっとそうなるでしょう。
日本の製造業はどんどん中国へ移動していますし、観光客や投資家がもたらす、中国マネーの影響は大きいです。

数年前から、中国系の観光客がほんとうに増えたなぁと思います。
マックやコンビにでは、当たり前のように中国人がバイトしてますし、留学生も増えました。
日本の景気と反比例するかのように、中国の発展は目覚しいです。


ところで、ドイツの人は日本で起きてる韓流(ハンリュウ)ブームって分かりますか?
数年前、韓国での大ヒットドラマ「冬のソナタ」が日本で放映され、超・超・超大ヒットを記録したことをきっかけに起こったブームで、
以降、韓国のドラマや映画、アイドルなんかが、ほぼ韓国とリアルタイムで入ってきています。
どうやら、一過性のブームでは終らなさそうです。


戦争からちょっと話がそれましたが、日本は今こんな感じです。


今日は終戦記念日。
いつか、アメリカ国民が「原爆は間違いだった」と思ってくれる日がくるといいなと、日本人として思います。
Posted by TAW at 2010年08月15日 20:30
TAWさん

こんばんは。こちらこそ丁寧なコメントをありがとうございます!
語学学校などへ行かれた方は一度は経験すると思いますが、
韓国の学生と肩を並べることになって、一度は戦争について
絶対授業でテーマになりますから、先生に日本と韓国はどうなの?
なんて聞かれますし、日韓の学生の間でも話し合われたりします。

そんな些細なことや、
TAWさんのおっしゃるようなハンリュウブームのお陰で
ずいぶんと日常で韓国の理解度が増したのは
いいことだと思いますよ。

韓国の方も今の若い世代は日本に興味をもっているのが
ここにいてもわかりますから。

ちょっと似ているのですけれど
やはり国が違うと違うのですよ。
そういった、自分と違うということを
だんだんに分かっていくというのは
相手に敬意が生まれるということに繋がると
思います。

さて、ご質問の
ドイツにはその韓流ブームという情報は
あまり入ってこないですねぇ。

答えになるかわからないですけれど、
ドイツ人は新しいものに飛びつくのに
奥病な国民だと思うのです。
保守的っていうか、ブームに左右されない、
頭がかたいっていうか。。
まあいろいろ言えるのですけれどね。

とにかく、新しいものに対してはまず警戒する
傾向にあります。

だから、たとえ韓流ブームが伝えられたとしても
あまり理解できないのじゃないかな〜と
思いますよ。

一つ思いつくエピソードは
韓流ブームというのもやはり
ワールドカップの影響もあるのではないでしょうか?
2002年に韓国と日本が開催国になったというのは
本当に今思えばお互いの理解を深めるのにいい機会ではなかったの
じゃないかなと思います。

そしてドイツといえば、
2006年にワールドカップの開催国になりましたが、
その時からファンは自国の旗をもって応援しはじめたのです。
ドイツの旗を持つというのが、国粋的な傾向を表し
すぐ戦争のトラウマを思い出させたのですが、
サッカーがそんなドイツの旗のイメージを払拭させた
感じがします。

オリンピックもそうだと思いますけれど、
スポーツが感動と癒しをもたらすと
考えられないでしょうか?
Posted by bonobonobonobono at 2010年08月17日 21:53
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